作詞:キム・ガノン、1943
Kim Gannon (1900-1974)
作曲:ウォルター・ケント、 1943
Walter Kent (1911-1994)
覚えておられるでしょうか?前回、Let's It Snow!をUPした時のことですが、邦題をどうつけようか?って随分悩みました。今回のこの曲もまた、負けず劣らずという感じで邦題に悩むこととなりました。
なにしろB型牡牛座の割には@→A→B→〜という感じで、順番に物事が進まないと気が済まない性格(?)なものですから、邦題が決まらないことにはその先に進めない訳なんです。なのでこうしてUPするまでに1年ほどの時間を要することになってしまいました。本当に済みませんでした。
邦題は「クリスマスはおうちで」がいいかなぁ。
それとも「クリスマスはうちで」の方が・・・。
この「お」があるのと、無いのとでは受ける印象は・・・?
いやいや「クリスマスは家で」もありだよなぁ。
あ、それとも「クリスマスは我が家で」の方がいいかも・・・などと、
こんなことをず〜っと考えていたんです。
え!?
本当は忘れていたんだろう?って?
い・いや・・・。そ・そんなことはある訳ないですから。嫌だなぁもう・・・。信用してくれないんだから・・・。(うぅ・・・なんて鋭い突っ込みなんだろ・・・)(^_^;)
と、いつもの言い訳を始めると話が前に進みませんので、まあそういうことがあったような無かったような。よく分かりませんが、なんにせよどうも長いことお待たせして申し訳ありませんでした。(笑)
気を取り直して、クリスマスの名曲” I'll be home for Christmas ”をご紹介させていただきますね。
このナンバーをご紹介するに当たり、外せないエピソードがあります。もしかするとご存知の方もおられるでしょうか。時は1965年の12月中旬のこと、つまりクリスマスを一週間後に控えた頃のお話となります。
当時、アメリカではジェミニ計画という有人宇宙飛行計画が実行されていました。月面着陸で有名なアポロ計画のひとつ前のものなのですが、アポロ計画の実現に向けた、ランデブーやドッキング、宇宙遊泳などの技術開発を目的とした実験的な内容になっていたといいます
その中で1965年12月4日に打ち上げられたジェミニ7号と命名された宇宙船が、14日間の宇宙滞在を終えて地球に向かっていた時のことです。
船長のフランク・ボーマンが無線交信のテストで、「ビングのアイル・ビー・ホームを掛けてくれないか?」とリクエストしたのだそうです。何のことか、すぐにお分かりいただけますよね?
そう、ビング・クロスビーさんの歌うこの曲を(きっとジョークのつもりで)リクエストしたのだと思います。しかしそこは、さすがNASA!本当にレコードを流したといいますから、太っ腹というかヤンキー気質というか・・・。40年以上前に、世界が注目する中で起きた、小さな奇跡のようなクリスマス・エピソードだなと思います。
地球に向かうジェミニ7号のコックピットで、「クリスマスには帰るから・・・」。
う〜ん・・・、最高のぜいたくというか、ダンディズムというか。家族が揃う日がクリスマスで、その前のイヴは皆が帰ってくる日。そういう背景を思い描きながら、ボーマン船長になった気分で想像してみてくださいね。あぁ・・・、って思いますから。そしてご家族の方は、「無事に帰ってきてね」と祈りつつこのやりとりを聞かれたのでしょうね。
ところでさっき名前が出ましたが、この曲を歌って最初にヒットさせたのがご存知ビング・クロスビーさんです。ビングは映画にもなったホワイトクリスマスでも有名ですが、このアイル・ビー・ホームも彼が本家という感じで、そういうことを知ると親愛の情を込めて「ミスター・クリスマスさん」って呼びたくなってしまいませんか?
その後、1946年にペリー・コモさん。1957年にはフランク・シナトラさんが吹き込んだレコードがヒットチャートに登っています。そういえばエルビス・プレスリーさんによるアイル・ビー・ホームも耳にすることが多いような気がしますね。
さて、ビング・クロスビーさんがデッカレコードで吹き込んだレコードがヒットしたのが、1943年という半世紀以上も昔のことです。歌も詩も曲もすべて良かったのですが、さらにこの曲が11週間以上にわたってチャートインし続けたもうひとつの理由があったことをご存じでしょうか。
1943年といえば昭和18年、つまり第2次世界大戦の真っただ中になります。アメリカから遠く離れた、太平洋戦線やヨーロッパ戦線(D-Day〜ノルマンディ上陸作戦は翌1944年6月6日)といった異国の地で迎えるアメリカの青年たちのクリスマス。
それは静けさとは正反対の、喧騒と怒号。そして生と死の意味がさほどの違いを持たない、狂気に彩られた極限の環境。
だからこそ「クリスマスには帰るからね、たとえ夢の中だったとしても・・・」という歌詞が多くの兵士たちの共感を得ただろうことは想像するに難くありません。また母国に残った家族や恋人。いちばん近いはずなのに、遠く、それこそ地球半周分ほどの距離に離された様々な愛情の対象となるであろう人々。
この” I'll be home for Christmas ”というクリスマスソングの名曲には、そんな歴史には名前の残らない、私たちと同じ一般の人たちの切ない思いが半世紀分以上、詰まっているのかもしれません。
だからこそこの曲に、懐かしさと共に一抹の寂しさや切なさを感じ取ることが出来るのではないでしょうか。
現代であれば遠距離恋愛や単身赴任なども、この曲の歌詞のような想いがつのるかもしれませんね。そういえばクリスマスイヴ前後のカレンダーで、BGMとして流すことが多いアイル・ビー・ホームなのですが、もしかしたらそれは「遠く離れていても、夢の中で会えるかもしれませんから・・・」というhideからのメッセージかな?
いえいえ。クリスマスを家族と過ごすことのない、自分自身に言い聞かせているだけのかもしれませんね。
なんて書くと、いつも一緒にクリスマスを過ごしていただいている皆さんに失礼ですよね。ゴメンなさい!m(__)m
ついつい感情移入してセンチになっちゃいました。あ〜恥ずかしい!(#^.^#)