I Saw Mommy Kissing Santa Claus 

Wherever I go

わしはどこへだって出かけるぞ!

santa ride!

 子供の頃は、サンタクロースが誰なのかなんて気にならないで、素直にプレゼントを喜んだ想い出って、たくさんの方にあると思います。
 でも、大きくなってそれなりに物心がついてくると、誰もが一度は考えますよね?
 『
サンタクロースっているんでしょうか?』って・・・

 実は今から百年以上も前の、アメリカのニューヨーク・サンという新聞の社説に、その答えが取り上げられました。

 とても有名なお話ですので、ご存知の方もたくさんおられることと思いますが、「聞いたことが無い」という方のために、Xmas Count Downでご紹介させていただきます。

 少し長いかもしれませんが、じっくりとお読みいただけると嬉しく思います。
 でも、本当に『
サンタクロースっているんでしょうか?

Santa Ride!2


 きしゃさま

 あたしは八つです。
 あたしの友だちに、「サンタクロースなんていないんだ。」っていっている子がいます。
 パパにきいてみたら、
「サンしんぶんに、といあわせてごらん。しんぶんしゃで、サンタクロースがいるというなら、そりゃもう、たしかにいるんだろうよ。」
と、いいました。
 ですから、おねがいです。おしえてください。サンタクロースって、ほんとうに、いるんでしょうか?

バージニア・オハンロン
ニューヨーク市 西九五丁目一一五番地

santa line

 

 バージニア、おこたえします。サンタクロースなんていないんだという、あなたのお友だちは、まちがっています。
 きっと、その子の心には、いまはやりの、なんでもうたがってかかる、うたぐりやこんじょうというものが、しみこんでいるのでしょう。
 うたぐりやは、目に見えるものしか信じません。
 うたぐりやは、心のせまい人たちです。心がせまいために、よくわからないことが、たくさんあるのです。それなのに、じぶんのわからないことは、みんなうそだときめているのです。
 けれども、人間が頭で考えられることなんて、おとなのばあいでも、子どものばあいでも、もともとたいそうかぎられているものなんですよ。

〜中略〜

 そうです、バージニア。サンタクロースがいるというのは、けっしてうそではありません。この世の中に、愛や、人へのおもいやりや、まごころがあるのとおなじように、サンタクロースもたしかにいるのです。
 あなたにも、わかっているでしょう。世界にみちあふれている愛やまごころこそ、あなたのまいにちの生活を、美しく、楽しくしているものなのだということを。
 もしもサンタクロースがいなかったら、この世の中は、どんなにくらく、さびしいことでしょう!
 あなたのようなかわいらしい子どものいない世界が、かんがえられないのとおなじように、サンタクロースのいない世界なんて、そうぞうもできません。
 サンタクロースがいなければ、人生のくるしみをやわらげてくれる、子どもらしい信頼も、詩も、ロマンスも、なくなってしまうでしょうし、わたしたち人間のあじわうよろこびは、ただ目にみえるもの、手でさわるもの、かんじるものだけになってしまうでしょう。
 また、子どもじだいに世界にみちあふれている光も、きえてしまうことでしょう。

 サンタクロースがいない、ですって!
 サンタクロースが信じられないというのは、妖精が信じられないのとおなじです。

〜中略〜

 サンタクロースをみた人は、いません。けれども、それは、サンタクロースがいないというしょうめいにはならないのです。
 この世界でいちばんたしかなこと、それは、子どもの目にも、おとなの目にも、みえないものなのですから。

〜中略〜

 この世の中にあるみえないもの、みることができないものが、なにからなにまで、人があたまのなかでつくりだし、そうぞうしたものだなどということは、けっしてないのです。

 あかちゃんのがらがらをぶんかいして、どうして音がでるのか、なかのしくみをしらべてみることはできます。
 けれども、目にみえない世界をおおいかくしているカーテンは、どんな力のつよい人にも、いいえ、世界じゅうの力もちがよってたかっても、ひきさくことはできません。
 ただ、信頼と想像力と詩と愛とロマンスだけが、そのカーテンをいっときひきのけて、そのむこうの、たとえようもなくうつくしく、かがやかしいものを、みせてくれるのです。
 そのようにうつくしく、かがやかしいもの、それは、人間のつくったでたらめでしょうか?
 いいえ、バージニア、それほどたしかな、それほどかわらないものは、この世には、ほかにないのですよ。

 サンタクロースがいない、ですって?

 とんでもない! うれしいことに、サンタクロースはちゃんといます。それどころか、いつまでもしなないでしょう。
 一千年のちまでも、百万年のちまでも、サンタクロースは、子どもたちの心を、いまとかわらず、よろこばせてくれるでしょう。

santa line

 

この「ニューヨーク・サン」新聞にのった社説は、今では古典のようになって、クリスマスの時期が近づくと、アメリカのあちこちの新聞や雑誌にくり返し掲載されるといいます。
 日本でも、1977年12月24日の朝日新聞の天声人語をはじめ、読売新聞の社会面やNHKなどで紹介されています。

 これを書いたのは、フランシス・P・チャーチ(1839-1906)という同社の記者でした。この人について、当時の編集長は、回想録に「人間生活のあらゆる面について、深い洞察力とするどい感受性をそなえた人物だった」と記しています。まやかしや不正をどこまでも追及する記者魂とともに、ゆたかな想像力と暖かい同情心をそなえていた人だったと思われます。
 ある日編集長はチャーチに、幼い筆跡で書かれた一通の手紙をわたして、この子への返事を社説に書いてみないかといいました。八歳の子どもへの手紙を社説に? チャーチは、はじめはぶつぶついいましたが、やがて机に向かって書き上げたのが、上記に紹介した文章です。

 その中には、ただ子どもの心を大切にしたいといった、優しい気持ちだけではなく、それ以上に大人に向けた警鐘を含んだ、すばらしい文章となっています。物質的に豊かになるその反面、精神的な貧しさが増幅されていくことに、新聞記者として気付いていたのかもしれません。

 いずれにしろ、サンタクロースはいる。しかも、死ぬ事は無い、とまで言い切っている、このチャーチの社説ほど、明確にサンタクロースの存在について語ったものはありません。来たる21世紀においても、サンタクロースはいる のです。

10/20/2000

santa claus is here!

 

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