さてさて・・・、2年越しとなりましたがサンタさんのお住まいについて、もう少しお部屋を案内してもらうことにします。5回目に書きましたが、なにしろ地下室から展望台まで総5階建てのお宅ですので、階段を上がるだけで息切れしちゃいそうです。(笑)
まずはサンタさんがどうも自慢したいらしい(?)、2階のコレクションルームを見せていただくことにしましょう。もっともサンタさんのことですから、普通のコレクションを期待する方が無理かも・・・。

●●● サンタ館について・その2 ●●●
★コレクションルーム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コレクションを見れば集めている人の人柄が分かるといいます。果たしてこの言葉はサンタさんにあてはまるのでしょうか?他人から見れば、ほとんど訳の分からない種々雑多なコレクションを詰め込んだコレクションルームは、もしかすると単なるガラクタ置き場なのかもしれません。
その統一性の無さから日夜増えていくコレクションは、今では部屋の窓からあふれ出しそうであり、現在6度目の補強工事中だといいます。(過去5回はあまりの量の多さに耐え切れず、窓枠ごと外に飛び出したとか・・・。)出来れば別の場所へ移動できないものか、現在考慮中。
★ナポレオンの辞書
「我が辞書に不可能という文字はない」。
そう言って味方を勇気付けたのは、ナポレオン・ボナパルト。
本当に彼の辞書に不可能という文字はなかったのだろうか?これは昔からサンタが気にかけていたことだった。
近代に入り、ロスにあるチャイナタウンの骨董屋で偶然にこの辞書を見かけ入手したものだが、その時には日に焼けてボロボロになっていた。確かに歴史の重みを感じさせる一品ではあるが、「不可能」という文字の部分が墨で黒く消されているのが気になる。
★ワッペン・バッチ
既にお分かりのことと思うが、サンタは好奇心が非常に強く、しかも世界中どこへでも平気で出かけていく。おまけにこの類は長年にわたって収集し続けているので、たいていのものは持っているようである。
お気に入りは、スイス・アペンツェル地方の熊をデザインしたもの。ハワイで売っていたステンドグラス風レインボーデザインのステッカーは、ヨウルマーのスノーモービルの風防に貼ってある。その他のワッペンは大切にお菓子の空き箱にしまってある。
バッチは厚い台紙にピンでとめ大事にしている。バッチの中でのご自慢は、ピンにぶらさがった毛沢東語録。これは中国政府の限定生産品である。全部で7個しか作られなかった逸品らしく、その内の一つを北京の呉さんからもらった。中国全土を統一したのは、秦の始皇帝と毛沢東だけだと呉さんは自慢していた。大切なバッチには、大切な思い出がこめられている。
サンタはワッペンやバッチだけは、地域別にきちんと整理し、思い出を楽しんでいる。

★エジソンの魔界ラジオ
エジソンが発明して発売した、霊界からの通信をとらえることができるラジオ。当時一世を風靡した魔術師のフューデリーは、愛妻へこのラジオを通じて交信すると言い残し、この世を去った。しかし、その後彼の声はこのラジオから流れることはなかったという。
霊界というものはそもそも存在しないのだろうか?それともエジソンの失敗作なのか?サンタの持っているラジオは、もらった時から故障しているので確かめようがない。
★マリー・アントワネットの書いたお菓子作りの本
「パンが食べられなければ、お菓子を食べればいいのよ」とは、有名なフランスの王妃マリー・アントワネットの言葉である。
その彼女が書いた「お菓子作りの本」をサンタは持っている。どうやらマリー・アントワネットは本気でお菓子作りの本を発売しようとしたらしく、執筆活動を行っていたようだが、その文書は途中で途絶えて未完となっている。
どうも彼女が執筆を終える前に、民衆の怒りが爆発してしまったためのようだ。

★コロンブスの卵
「新大陸発見は誰にでも出来ることだ」といわれたコロンブスが、人々に「卵を立てられますか?」と聞いた。
誰も出来ないでいると、コロンブスは卵を少し割ってテーブルに立てて、「誰でも出来ることでも、初めてすることは難しい」ということを見せた。
その時使った卵をサンタは持っている。中身は割れ目から流れ出してしまって、現在は殻のみになっている。しかし側面にはきちんとコロンブスのサインが書かれている。
もっともそのサインのスペルは間違っており、サンタはコロンブスがちょっとあわてんぼう屋さんだったのではないかと思っている。そういえばアジアを目指したコロンブスは、バハマ諸島のひとつ、サンサルバトル島に到着したのだが、死ぬまで自分はアジアに行ったと思っていたらしい。
やはり卵を立てるのも、しょせんは屁理屈ではないかとサンタは時々この卵を見ながら考えている。
★狼男用の銀の弾
イギリスは狼男誕生の地である。
その昔、サンタがコーンウォール地方を旅していた頃、神父から「銀の弾丸」をもらった。これは銀の十字架を溶かして作ったもので、狼男を倒すものとしては最高級のものである。
サンタは大切なものを自分に渡したことを不思議に思ったが、その謎はすぐに解けた。それから1ヵ月後のある満月の夜、神父の姿が消えてしまった。教会の床には、引き裂かれた服と数本の狼の毛が残されていたという。神父は狼となって、現在もコーンウォールの森をさまよっているのだろう。
サンタは今でも狼の遠吠えを聞くと、神父の孤独な横顔を思い出す。

★サンダルに踏まれて死んだ三葉虫の化石
三葉虫とは今から3億年の昔に海中を泳いでいた生物である。その化石の一つにサンダルに踏まれて死んだものがある。
こうした「その時代にある訳が無い物」を総称して「オーパーツ」と呼ぶが、サンタの持っているオーパーツで最も自慢しているものが、この化石である。この化石から察すると、現生人類のクロマニヨン人が4万年前にあらわれたとして、それより2億9996万年も前にサンダルをはいた人類がいたことになる。
いや、もしかしたら浜辺で海の家を営んでいた親父が、突如3億年前にタイムスリップして、うっかり三葉虫を踏み潰してしまったとも考えられる。イマジネーションはひろがるばかりで、最近では海の家の親父から発生した子孫が、現生人類につながっていったのかもしれないと思うようになった。
世界最初の人間アダムは、焼きそば作りが得意なのだろうか。
★ドラキュラのハブラシ
ブラム・ストーカー原作「ドラキュラ」のモデルとなったのは、ルーマニアの「串刺し公テペス」であるといわれており、サンタはこの伯爵のハブラシを持っている。
昔、トランシルバニアで買い求めたもので、何でも巨大なコウモリから落下してきた品物らしい。そのハブラシの毛は、豚毛でもナイロンでもなく、針金で出来ている。この丈夫な針金ハブラシで、歯にこびりついた血や肉をこそげおとすのであろう。使いたくても使えない逸品だが、ヨウルマーが間違えて台所の金ブラシにしてしまったことがある。
★ノストラダムスのスケジュール帳
ノストラダムスが世界最大の預言者であることに異論はないだろう。何せ自分の墓が掘り起こされることまで預言していたのだからすごい。
それほどの能力を持った人物のスケジュール帳なのだから、ビッシリと分刻みに記述されており、中には相手の話す言葉まで予定されているものもある。しかし、これだけ綿密に預言されて書かれたスケジュール帳でも、過去のものになってしまえば単なる日記と変わらない。
ノストラダムスには、日記を書く必要がなかったんだなとサンタは考える。

★ロビンフッドのタイツ
緑色のタイツ。それはピーターパンかロビンフッドのものだ。少なくともイギリスではそう決まっている。
サンタは身分を隠して、イギリスで「珍品コレクションズ・オーナー」というおかしなサークルのメンバーに入っている。
あれは今から少し前のこと。サンタがこのタイツをもらった時も両者どちらのタイツかということで議論が行われたが、ピーターパン派のいうことには、シャーウッドの森は現存するにしても、ロビンフッドは存在しない。だいいちタイツの匂いが違うそうだ。
一方ロビンフッド派がいうには、ネバーランドは実在しない。ピーターパンは創作上の人物だ。だいいちタイツのはきごこちが違うという。
そうして長い時間の末、サンタがタイツの繊維の間に大変なものを発見した。それは一本のすね毛であったが、それが勝敗を決定した。ピーターパンは永遠の子供なので、すね毛があるはずがない。つまりこのタイツはロビンフッドのものなのだ。
ようやく決着がついたメンバーに、サンタは、「サンタクロースは存在するか」と尋ねたことがあるが、子供だましだと一笑に付された。
★ミロのビーナスの腕
地中海から引き上げられたミロのビーナスには、その時からすでに腕が無かった。腕が無かったために、観る者の想像をかきたて一流の芸術品になっているともいわれる。
もしそうならば、サンタが持っているミロのビーナスの腕はまさに蛇足だといえよう。しかし蛇足だろうと何だろうと、それが事実であれば一度は元の位置に戻してみたくなるのが人情である。
サンタはルーブル美術館の警備員に三度ほど捕まっている。

★聖徳太子の耳かき
一度に10人の者の意見を聞き、それぞれに答えていくのは容易なことではない。それが出来た歴史上の人物は聖徳太子のみである。
彼が秘蔵としていた耳かきをサンタは持っている。竹で作られたシンプルなものだが、裏側に「しょうとくたいし」と、へたくそな平仮名で名前が彫られている。多分幼少の頃より使いし品と思われるが、彼の幼名と異なっているのが不思議だ。
何せ遥か東方の国の品なので、少々の違いが生じることなど当たり前だと、サンタは思っている。エキゾチック・マジカル・ワールド・ジャパンといったところかもしれない。
ちなみに、この耳かきには「聖徳太子の耳あか」がセットとなって付属していたが、サンタのくしゃみとともに風に乗って消えてしまった。遥か東方の国、日出ずる処の天子の耳あかは、この北欧の地で土になったと思えば、これまたロマンチックな気分に浸れるとして、なくした悔しさをサンタは紛らわしている。
★ウィリアム・テルの矢
この品物は100人が100人とも「ウィリアム・テルの矢」だと確認できる。なぜなら、矢柄に乾燥してほとんどミイラ化した干しリンゴがついているからだ。こういた矢に関する珍品は世界中にあるらしく、ギリシャでは矢柄に足首がついていたら、不死身のアキレウスを斃したパリスの矢だといわれている。

★ヨウルマーの部屋 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
サンタのコレクションルームに上がる階段とは別の階段から2階に上がると、ヨウルマーの部屋があります。彼女いわく「コレクションルームとドア続きだと、いつの日にかドアが存在する意味が無くなる日が来る」と思ったそうで、わざわざ別に増築するようサンタに頼んだそうである。
さすが先見の明というべきか、ドアから脱出する機会を永久に失ったサンタの膨大なコレクションは、今や唯一の逃げ場を窓にするしかない状況になっているのは、既にご存知の通り。
ヨウルマーの部屋は、木造の質感がしっとりと感じられる、シンプルなこざっぱりとした部屋である。サンタ館は、この部屋を中心に増築されていった。壁の所々には春の花々のデザインが刻まれていて、母親や幼い頃のヴェレッタの古ぼけた写真なども飾ってある。
本棚には推理小説や旅行先で買った世界各国の料理本のほかに、木彫りの人形などが置いてある。窓は小さいが、フィンランド出身のヨウルマーは、北欧の伝統的な趣きを感じさせる落ち着いた雰囲気の部屋を好んでいる。
サンタクロースという人とも神ともつかない巨大な子供の妻である彼女が、唯一人間に戻ることが出来るのがこの部屋なのかもしれない。
