ー トナカイの秘密 −

ま・だ・来ないかな・・・

 「まだかな・・・。まだ来ないかな・・・。」

 クリスマスイヴの夜は、とてもじゃないですけどおちおち寝てる場合じゃないのは、きっとこれをお読みのあなたならよくお分かりの事でしょう。
 「
サンタさんに会いたい!」「サンタさんに会わせて!」
 こういう気持ちって、すっごく良く分かります。

 でもちょっと待ってくださいね。サンタクロースはどうやって、あなたの部屋にやって来るのでしょう?
 「
トナカイのひくソリに乗って」やって来るのは、ご存知ですね。
 それこそこのページじゃないですけど、歌にまでなっているのですから、まさしくこれぞ「公然の事実(?)」といえます。

 じゃあイジワルして、もうちょっとお聞きしましょう。あなたはそのトナカイの事を、どれ位ご存知でしょうか?ソリは何頭立てですか?トナカイにはそれぞれ名前があるのでしょうか?

 今宵はサンタクロースの良き相棒であり、強力なサポートスタッフであるトナカイ(英語では Reindeer と呼びます)にスポットを当てて、ご紹介させていただきます。どうぞごゆっくりお読みください。

 

サンタクロースのソリは何頭立て?

 「サンタクロースの服はなぜ赤い?」をお読みいただいた方はお分かりですよね。ニューヨークに住んでいた神学者クレメント・クラーク・ムーア(1779〜1863)が、1822年に自分の子供たちのために作った『聖ニコラスの訪問』の中で、初めて八頭のトナカイがひくソリに乗って空を飛ぶ事が、そこには書かれています。
 セント・ニコラスが一頭のトナカイの引くソリに乗ってやってくるとしたのは、19世紀初めの『五歳から十二歳の子どもたちへの新年の贈り物』という本ですが、八頭立てというのはムーアのこの詩が最初です。

 サンタクロースがセント・ニコラスに変わって登場してくるのが、この19世紀初頭の頃であり、それまでは「馬に乗ったどこかいかめしい聖人」としてのセント・ニコラスのイメージが強かったようです。

 ちなみに蛇足ですが、アメリカの文学作品に登場するサンタクロースを追ってみますと、1809年に Washington Irving がデートリッヒ・ニッカボッカの名前で書いた『ニューヨークの歴史』の中に、初めて登場する事が分かっています。(この本の中で、英語読みの「セント・ニコラス」と「サンタクロース」が使われています。

 少し話が脱線しましたので、トナカイのお話に戻りましょう。八頭立てのソリを決定した『聖ニコラスの訪問(A Visit From St.Nicholas)』を実際に見てみましょう。

クレメント・クラーク・ムーア著 「クリスマスの前の晩」

The Night Before Christmas

 確かに表紙には八頭立てのソリに乗った、サンタクロースが描かれています。しかしムーアがこれを確定させたのは事実ですが、当然それ以前にも八頭立て以外のソリに乗ったサンタクロースが存在していました。

 では、証拠写真を!(笑)

 

 セント・ニコラスではなく、<サンタクロース>という言葉のくくりで追ってみますと、古いクリスマスカードの中に「二頭立てのソリ」に乗った姿を、見つけることが出来ました。

 ちょうどアービングが『ニューヨークの歴史』を執筆した頃ではないかと思われます。

 この後、いきなり八頭になるのではなく、その間があるというのが妙に人間くさくて面白いところです。では次へ進みましょう。

 

 今度は4頭立てのソリに乗っていますね。空を飛んでいないのは、きっと元々ソリは雪の上を走るものだからでしょうか?

 じゃあ、次へ行きます。

 

 今度はいきなり八頭立てです。右下に六頭立ての貴重な映像(笑)がありますが、それ以外はぜ〜んぶ(!)八頭のトナカイが描かれています。

 中央右にはサンタクローストナカイと一緒に小人がたくさん写っているのがご覧いただけます。彼らは一般には「トント」と呼ばれますが、北欧では「トントゥ」「トムテ」「ニッセ」などと呼ばれ親しまれている妖精です。結構貴重なショットかもしれませんね。トントたちについては、いつかまた詳しくご紹介させていただきます。(と平気で書いて、1〜2年が経ってしまうのがhideの悪いクセですけど・・・)

 ともあれ、駆け足で見てきましたが、サンタクロースのソリも年代によって、2・4・6・8とパワーアップしているのが分かって、とても面白いですね。

 え?トナカイの数がだんだん増えていく理由は何かですって?

 そりゃあきっと、知名度が高まるにつれプレゼントを期待する子どもの数が増えて、その分たくさんのプレゼントを積み込まなきゃいけないからでしょうね。あと、最近では毎年NORAD(北米防空司令部)が衛星レーダーを使って、サンタクロースの移動を調査・ホームページに公開、などというとんでもないことを行ってますので、それを振り切るためにも八頭立てのソリはきっと必需品なんでしょう。

 「昔はもっとノンビリしていたもんじゃがのぅ・・・」というサンタクロースのボヤキが聞こえてきそうですね。

 

トナカイの名前について

トナカイ Reindeer

シカ科のほ乳類。普通のシカによく似ていますが、雌雄とも大きな角を持っています。サンタクロースのソリを引くといわれているトナカイは、極地ではとても重要な家畜です。食用の他にもミルクを取ったり、皮はテントや靴や衣服などに使われたり、角や骨を装飾品にしたりします。

 

 さて、今度はトナカイさんたちの名前についてです。歌になるくらいで「赤鼻のトナカイ:ルドルフ」がとても有名ですが、この歌の最初の部分でトナカイの名前が全部歌われているって、ご存知でしたか?ビング・クロスビーさんのCDをお持ちでしたら、一度聞き直してみてくださいね。

 もっともルドルフは残念ながら歌の中だけでの存在で、実際にソリを引いているトナカイの中には「ルドルフ」という名前はありません。ちょっとガッカリしちゃいました?hideもそれを知った時は「え〜ウソ〜!」と、思わず心の中で叫びましたから、その気持ちはよく分かります。

 まあでも歴史的事実(なのか?)を曲げる訳にはいきませんので、ルドルフはとりあえず置いといて、先を進めましょう。それでなくても文章が長いのですから・・・。(汗)

 八頭のトナカイの名前を決定したのは、さきほども出てきましたクレメント・クラーク・ムーアです。自分の子供に聞かせるために作った詩で決まってしまった訳ですから、案外迷惑してるかもしれませんが。

 八頭のトナカイの名前は、「Dasher(ダッシャ−)」「Dancer(ダンサー)」「Prancer(プランサー)」「Vixen(ヴィクセン)」「Comet(コメット)」「Cupid(キューピッド)」「Donder(ドンダ−)」「Blitzen(ブリッツェン)」といいます。

 それぞれどんなトナカイさん達なんでしょうね?ちょっとインタビューしてみましょうか。では、現場にカメラを回します。(笑)

 

世界初?トナカイさんへのインタビュー

コメット

え?これって世界中に放送されてるの?しまったなぁ、床屋に行っとけば良かった・・・って、まあいいや。とにかく俺は「一番乗り!」。これがポイントだな。そのためには常にやる気が必要さ。まあ、世間では俺の事をリーダーと呼ぶよ。
もっともいつだったか張り切りすぎて、猛ダッシュでスタートした時があったんだけど、あの時は調子にのりすぎて大気圏外に飛び出しそうになったなぁ。さすがの俺もヤバイ・・・と思ったから、あとの連中は生きた心地しなかったんじゃないかな?

アナウンサー:どうやら「猪突猛進」のタイプみたいですね。

キューピッド

うぃ〜☆ 世間じゃおいらの事を「酒飲み」っていうよ。もっともサンタの大将に比べりゃかわいいもんさ。 ヒック☆
クリスマスはあれだね、酒がうまいから大好きなんだ。世界中の酒が飲めるしね。
そうそう、「赤鼻のトナカイ」っていう歌があるだろ?あのルドルフっておいらがモデルなんだぜ。いつも酒飲んでるから、鼻が赤くなっちゃってさぁ。でもこんな奴がモデルだって放送したら、あんたんとこ投書の山になるかもなぁ。 うぃ〜っく!☆

アナウンサー:生中継でなければカットしたいです。

ドンダ−

どうもこんにちは、私がドンダ−です。名札がドナーになってるのはトントが間違えたのを、そのままにしているからなんで、テロップ流す時に間違えないで下さいね。
世間からはよく「クール」とか「無気力」だとか言われますね。ただ本気になったらコメットより早いですよ。あいつがバテたらあとは私にかかってますから。サンタさんもそれを良く分かってて、そういう時は「これが終わったら温泉に行くぞ〜♪」って私にこっそり耳打ちしますね。

アナウンサー:結構ワガママなトナカイみたいです。

プランサー

今隣でドンダ−が偉そうな事を言ってたけど、この中で一番嗅覚がすぐれているのが僕なんだ。一晩で世界中を飛び回るから、晴れた空ばかりじゃないって事は分かるよね?
雨雲の中を飛ぶことだってあるんだから、自分達がどっちに向かってるかを、僕が土の匂いや街の匂いで案内するのさ。
え?サンタクロースは何してるのかって? 大体いつも「プランサー、お前だけが頼りなんだからな」って、ソリの中でブツブツ言ってるよ。大きい声で言うと他の連中に聞かれちゃって、やる気をなくす奴も出てくるからね。でも、バミューダトライアングル、あそこだけはヤバイんだ。今年はあそこは飛ばないようにしようと思ってるんだけど、ショートカットのいいコースだしね。出発までいつも悩むよ。

アナウンサー:チームの羅針盤役ですね。頑張って下さい。

ヴィクセン

この中じゃぁ、ワシが一番年寄りじゃのう。若いもんと飛ぶのは正直キツイんじゃが、子ども達の喜ぶ顔が浮かんでのぅ。
それに若いもんだけだと、トラブルが起こった時にちと心配でな。何事も無事故が大切じゃからな。ま、安心・安全というやつかのぅ。いつかは引退するのは止むを得んが、今の連中がもう少し育ってからのことじゃな。ふぁっふぁっふぁっ。

アナウンサー:無理しないで下さいね。

ブリッツェン

ぼ・僕・・・、みんなみたいにうまくしゃべれないから・・・。
トント達も「いるのかいないのか分からない」って、いつも言ってるみたい・・・。
な・なんで僕みたいなのがソリ引いてるんでしょう。
うう・・・。

アナウンサー:あ〜あ、涙ぐんじゃってるよ。

ダンサー

ふふふ〜ん♪

アナウンサー:あのーインタビューしたいんですが・・・

ふ〜ん♪ ふふ〜ん♪

アナウンサー:ダメだこりゃ。

ダッシャ−

モグモグモグモグ・・・

アナウンサー:こんにちわぁ〜。お食事中に失礼しま〜す。

モグモグ、モグモグモグモグ・・・。
モグモグ、ゴックン・・。フゥ〜。モグモグ・・・・。

アナウンサー:はあ〜、やれやれ・・・。
         以上で中継終わります・・・(涙)

 

 いかがでしたか?「トナカイの秘密」は。
 久々の「クリスマスあれこれ」のアップになりました。
 今年は思いもかけず、たくさんの方々にAdvent Calendarへお立ち寄りいただきました。本当にありがとうございました。

 ささやかですけど、感謝の気持ちを込めたhideからのクリスマスプレゼントとさせていただきます。いつもながら長い文章ですが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2001.12.24. Webmaster hide

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